~語彙力薄弱~

やんわり作品レビューなど

レビュー第4回 「ミックス。」を観てきました

【レビュー第4回 ミックス。

 

偶然の出会いが、わたしの人生を変えた。 

 

 卓球を扱う映画やドラマやアニメとかって、なんとなく少ない印象がある。存在してるけどあんまり話題に上がらないだけか?どちらにしてもいち卓球プレイヤーである自分としては寂しい部分もあるが、いくら日本の選手が大会で優勝した・上位に入賞した……とかで功績が世間に認められてきたスポーツだといって、正直作品の題材として扱うにはあんまし見映えしないってのは認めざるを得ないわけで。世間の認知度と見映えは必ずしも両立しない。そりゃそうだ。 

 しかしそこで「あんまり見映えしないスポーツ」である卓球をわざわざ題材にしたうえで、全日本卓球協会全面協力のもと豪華キャストで彩られた邦画が公開!的な宣伝が目に入った。ふだん邦画は全然観に行かないんだけど今回は事情が違った。

 人並みにわくわくしつつ劇場へ向かえば満員御礼、なんだよやるじゃん、卓球すげえじゃん!いいえそれは違います。あの空間にいる人間の8割以上はガッキーを観に来ているといっても過言ではなかったはずである!(名推理)周りの皆様の会話からそんなことを聞き取れたってだけなのではあるが、少なくとも「私が」劇場に向かう理由としては、卓球が題材であること、リーガル・ハイのスタッフが製作していることってだけでも十分だったのだ。決して私は出演者で観る作品を決めているわけではない。でもたしかにガッキーかわいいけどね。

 

 そんなガッキーが今回演じたのは三十路のダメ女である。が、今回はちょっと雰囲気が違う。彼女を主人公もしくはヒロインにしたありていなドラマであれば、ガッキーや脚本に対して「このルックスでちょっと不器用だからって男がいないのはおかしいやろ」などとぶつくさ文句をたれつつ、そんな彼女の姿に庇護欲を覚えた私たちは、その感情を「かわいい」の一言で片付けてしまう。それが「いつも」のイメージだ。

 しかし今作での彼女は、そのルックスを補っても余りあるほどのダメ女として描かれる。とくに序盤。そこで私たちが覚えるのは庇護欲などではなく同情であり、むしろサイリウムやペンライトを振って応援したい、そんな衝動に駆られるだろう。ガッキーはラケット握ってないのにだよ?スタッフというか監督は、ガッキーの撮り方を完璧に熟知しているのようにみえた。もちろんかわいく撮る技術もすばらしいからね。

 と、まあガッキーのことばかり書いてしまったが、もちろん劇中でペアとなる瑛太も好印象、二人のペアは息ぴったりでお似合い......というより、そう思えるぐらい見せ方がうまいのかも。あの二人私は好きです。

 

 ガッキーと瑛太のペアを取り囲む登場人物も大物揃いである。なにしろ私は芸能に疎いのだけども、顔見たことある人がそろい踏み。なんでこの人出てるのってなるぐらい豪華だ。

 でもこの作品の登場人物のキャスティングって、みんな意外性があるのに、そこに違和感はあんまりない。それは、この作品が現実に起こりうる物語なんてものととは縁遠く、完全にフィクション、脚色マシマシの物語であるおかげで、自分の主観とは完全に切り離すことに成功しているからだ。いくらむちゃくちゃな配役でも「フィクションだしな」と割りきることで自然と受け入れることができる。もはや一周回ってハマり役だと感じることになるわけだ。コメディだもん、これぐらいやってくれた方が気持ち良い。

 

  さてこの映画、私は全体的に満足しているつもりなのだが、正直(言い方が悪いのだが)「大画面でカネのかかったテレビドラマを見ている感覚」を感じる部分はけっこうある。これはこの映画だけでなく、近年の邦画の呪縛とか言うべきか。もちろん私はこの映画にド迫力な映像とか求めてたかんちがいくんじゃないし、それでもそこに関してはこの映画はけっこう映像的な見せ場もしっかり作られていたのでそこは評価すべきところだと思っている。 

 ただ、監督をはじめとしたスタッフがテレビドラマ出身だからか、全体的な印象としてはやはり映画というよりはドラマっぽさを感じるのも事実だ。脚本自体は意外と単調で、多少もどかしく感じる部分があったりもする。「ここでCMが入りそう」って思う露骨な間の取り方とかね。ここは賛否両論ってとこかもしれない。それが好きって人もいるだろうし。逆に考えればそのドラマっぽさが、敷居の低さに繋がっている。そしてそれこそがこの映画の魅力にもなっているわけで、気軽に観れるコメディー映画としての仕上がりは至高である。

 なんだかいろいろ書いたが、アツいコメディエンターティメントってことでまとめておくことにするよ。観るときっと元気が出るだろう。それぐらい鑑賞後感も悪くない。私はまた観たいと思うんだ(来年ぐらいには地上波で放送されそうとか思ったり......)。

 

 余談だが、個人的には「お遊びとしてのピンポン」ではなく「競技としての卓球」をしていたことが純粋に嬉しかった。前述したけど卓球題材にした作品って多くないからね。キャストにばっかり焦点を当てて本題のスポーツはないがしろにされがちって作品もあるし、そういうのに比べればこの映画はちゃんと細部にまで力を入れて作りこまれていた。コメディなのにですよ?だから好きになったんですよ、この映画。

 

 私は卓球やっぱり好きです。ミックスする相手はいないけどね!