~語彙力薄弱~

やんわり作品レビューなど

レビュー第2回 「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を観てきました

【レビュー第2回 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

 

もしも、あのとき......

 

 「この夏いちばんの青春恋愛映画」とでも言いたげな予告と宣伝によって、一部の人間にデジャヴを感じさせた気がするのは僕だけじゃないと思いたい。僕自身もまんまと乗せられてしまった、昨年の「君の名は。」ムーブメント。どこをとっても盛り上がるように設計された作品なのだから(褒めてる)、盛り上がらないはずがなかった。

 しかし「君の名は。」を若者向けの総合的なエンターテイメント作品として捉えるとすれば、今回レビューする「打ち上げ花火(以下略)」は、視聴前に予告や各種媒体から受けた印象こそ似ていると感じたが、ターゲットにされる層、作風、というかもう全部、ベクトルの方向が違う作品だった。......まず絵が違う?それは下で書いてるから......。

 

 過去に放送された45分のドラマを → 90分の劇場アニメにする

......という、界隈ではあまり聞かない企画が「打ち上げ花火(以下略)」の最大の特徴なのだと思う。つまり、実写が先立つ作品である以上、制作側は「アニメだからこそできる」独特な脚本・演出で勝負に出ることになるわけだ。そしてそれが、作品により一層深みを与える結果となったのだ......なんて書いてみたりする。 

 逆に言えば、そこが本作の評価の分かれ目となったのである。見慣れない人はもとい、見慣れている人からしても、このアニメの独特な展開・演出を「わかりづらい」と捉えることも少なからずあると思うからだ。

 正直、これ書いてる僕だって、観る前は青春恋愛エンターテイメント的な内容を想像してたわけだし、観終わって「内容を完全に理解した」なんて言えない。でも、それって決して説明を放棄されたとか、大事なとこを省いたそういうわけではなくて、ある程度受け手に解釈を任されているってことなのだろう。少なくとも僕はそう受け取った。 

 

 こうして考えてみると、この映画の作り手からすれば、受け手として望ましいターゲットとは、アニメを見る人の中でもコアな層になってくるのだと思われる。シャフトの持ち味を生かした「シャフト的」な演出の数々と、それを引き立てる魅力的な音楽はコアな層を虜にしたことだろう。もちろんこれをきっかけとして、こっちの層に入ってくれる人がいれば歓迎するよ。

 

 ここで余談だが、ヒロインの「なずな」の色気がすごい。予告でも垣間見えるが、本編での破壊力はこれまたすごい。物語シリーズ等で、「シャフト的」な女の子の色気の描き方を知る人にとっては、まってましたといったところか。絵が深夜アニメっぽいのはご愛嬌。煩悩まみれの諸兄には、さぞ刺激が強いことだろう。

 

 この娘、見た目だけなら絶対中1じゃないわ(ネタバレ気味)。

 

 余談と言ったな?あれは嘘だ。個人的に考える、本作の賛否を分けるポイント2つ目はそこなのだ。登場する主要なキャラクターに対して「コイツらの年齢、中1っておかしいだろ」と感じてしまったところなのだ。2つの意味でね。

 原作のドラマでは、主要な登場人物は小6であるが、今回設定が変更された。

 (僕はドラマの方は未見なので、これに関して突っ込むのはあまりよくないことなのだが)本作を見て思うのは、設定年齢とその行動・性格のかみ合わせが悪く、少しちぐはぐに感じるということである。「中1なのに大人びすぎている」と「中1なのに子どもっぽすぎる」というキャラの印象が、作品内に混在している。

 これを「少し変わった子ども」として割り切って捉えるかが微妙なラインなわけで。

 例を挙げれば、たしかにヒロインは「変わった娘」なのだが、年齢と性格と見た目(これはアニメなのでどうにもしがたい)が合致していないように思ったりする。

 設定変更が原因なのか、それとも僕がドラマを視聴したとして、そこでもちぐはぐな印象を抱いたのかどうかは分からない。未見の以上は偉そうに語れないので、機会があればそちらも見てみたい。これは単なる興味。

 

 ともかく、そうやってゴチャゴチャ言ったとしても、どれも違和感程度のものなので、神経質に考える性質じゃなければ、とくに気にせずに見ることができると思う。たぶん。

 主人公とヒロインを演じる声優に違和感があるという話も、その周りを囲む人物に本業の声優が多かったため、違和感が強調された......という話だろうと僕は思う。違和感はあるが、これ以上そんな事書くなら内容について書きたい。

 とりあえずここはレビューなので。内容の考察等は控えよう......変な事書いて打ち上げ花火警察(仮)みたいのに捕まるのも... って思ったけど別で少し書くかもしれない。コアな層の性ってやつなのか?これ。

 

 さて、劇場公開から一週間が経った。少し落ち着いた今こそ、冷静にこの映画と向き合ってみるのも一興。他で書いたこともあるが、映画にする以上「劇場で見るために作られた」演出もたくさんあるし、劇場で聴く主題歌「打上花火」もぐっとくるものがあるはず。......Youtubeでいいだろ?そんなこと言わないで.....

 好きなものは好きと言わせてほしい。僕はけっこう好きです、この映画。