~語彙力薄弱~

やんわり作品レビューなど

レビュー第5回 「キングスマン」を観ました

【レビュー第5回 キングスマン

 

 キャッチコピーと写真でお腹いっぱい?まぁそう言わずに.......。

 話題になってたけど実際に観たことはなかったのでTSUTAYAで借りてきました。もちろんその話題性もさることながら、今回観ることになったのは最後のジェダイ観に行ったときに続編の宣伝やってて気になったからってのも大いにあるんだけども。

 

 さて、とりあえずレビューということで最初に本作について言っておきたいのは、本作がポスターのとおり「ブッ飛んだ作品」だということである。キャラに道具に世界観.......それらの要素がわたしたちの日常から大きくかけ離れた世界を描く、つまりアメコミ原作らしい「現実から」ブッ飛んだ作風を感じることができるのだ~という意味で本作をそう形容しようと思うわけなんだが、ブッ飛んでるのはなにもそれだけではない。

 本作の内容は、スパイ映画作ってる同業者から異端ってかもはや別ジャンルとして扱われかねないぐらいに、同業者の作り上げた「スパイ映画の常識」みたいなものからもブッ飛んでいるのである。

 

 便宜上映画のジャンルとしては「クライムアクション映画」的な位置付けをされている本作であるが、( 個人的には )スプラッターアクションとかに区分されても何らおかしくはないと思うほどに、とびきり過激な戦闘シーンの多さに驚かされる。ってあれ、スパイって隠密行動が基本じゃなかったっけ?もちろんそのはずだ。

 

 「スパイ大作戦」( お前は歳いくつだよ )とか、そこらへんを頭に思い浮かべて考えてみるのが早いだろう。従来のスパイを扱う作品は、中二病アイテムを使って、なるべく人との戦闘を避けて任務を遂行することが多い。だってスパイだからね。

 しかし、本作の中二病アイテムは総じて武器である。戦闘を回避するアイテムではなく、対象の排除または戦闘で有利を取ることが目的とされたものだ。攻防一体仕様のシックな傘、パリッとしたスーツは防弾仕様、そんなスーツに似合う靴には毒刃仕込み、ときた。もう言ってもしょうがないわな、彼らは戦闘を回避する気など毛頭ないのだ。パリッとスーツを着込んだビジュアルからは想像しがたいが、いつでも戦闘態勢は万端なのだ。

 〽弾は飛ぶ飛ぶ、炎と燃えて、ああキングスマン......。弾が飛び交うのだ、誤字ではない。

 ともかく、中二病アイテムを使った(使わないこともあるけどさ)やたらと血の気が多いアクションシーンは、本作の見どころの一つといえるだろう。R-15指定をいいことにやりたい放題、そしてそのどれもがブラックユーモアに満ちた悪趣味なものに仕上がっている(褒めてる)。戦闘パターンは単純明快、スマッシュ(打)・スラッシュ(斬)・スプラッシュ(血)。そしてもちろんお約束の爆発まであるオーバーキル仕様。彼らは相手に手加減する様子など一切ない。敵サイドの殺気もマックス、始まるのはコロシアイ以外に何があろうか......閑話休題

 

 本作の全体的な印象は上記のような感じだが、私は、スーツを着込んだ「上品な英国紳士」と、戦闘シーンの皮を被ったブラックユーモアという「下品の具現化」みたいなものが画面内で同時に存在しているその奇妙なちぐはぐ感が、この映画の面白いところだと思った。「マナーが紳士を作る」なんて、いったいどの口が言ってるんだ?って皮肉っぽく笑うことだろう。「ハマる人はハマる。」その理由がきっとそこにある。

 

 しかしながら、本作はアクション映画だからといってお話がおざなりにされているというわけではない。師匠・頼れる仲間・守るべき家族......みたいな主人公を取り巻く人間ドラマも見ものであり、それらを軸にした主人公の成長物語としての側面も楽しめるアツい出来栄えだ。

 総じて本作は非常に密度の濃い作品であるが、それにもかかわらず、その構成に違和感がない点も素直に評価されるべきだと思う。

 スタイリッシュでアグレッシブというスパイ映画の新ジャンルを開拓し、その分野ではほかの追随を決して許さないキングスマン。もうここまでくるとスパイって何だっけ?ってなったりするが、頭を空っぽにして身を任せてみるのも悪くないぞ!

 

 さて、長々と書いたが、ここからは余談。

 目に先の尖ったものが刺さるとか、頭カチ割られるとかそういう 「リアルに痛い系」のスプラッターアクションが若干苦手なので、見ていてちょっと引き気味になってた部分がありますね。

 いやまぁ花火大会( 直喩 )でもう完全に引き笑いでしたけど。あぁいうの嫌いじゃないけど、とくにそこまで好きってわけではないよ。続編は対象年齢が下がったのでマイルドになってたらいいなぁとか思ったり( まぁそこが好きって人もいると思うけどさ )。 最後に尻より胸派だけど尻もいいねとか書いてみたりするよ。

 

やんわり映画レビュー おまけ編

 

【やんわり映画レビュー おまけ編】

 ここ最近観た作品のなかから、記事にしてなかったものをピックアップ、とりあえず書き留めておくコーナー。

 

「トロン・レガシー」

 トロンのリメイクだと思っていたらまさかの続編だった。下調べが甘い。でもトロン観てる人っているのだろうか、私は原点を知ることっていいことだと思うけど、あれだけはポリゴンショック起こしそうっていうか。チカチカしますよね。

 それは置いておこう、大事なのは中身だ。しかしながら、とにかく映像は気合入っててすごいと思うんだけど、B級サメ映画のエサ役みたいな思考回路の主人公とそのパパのせいで内容が迷子。個人的にはそんな嫌いじゃないんだけど、面白いかと言われると微妙なラインと答えてしまうかもしれない。盛り上がりどころがいまいちよくわからんとか感じてしまったのは、映画のノリにうまくノれなかったからなのだろう。ここはホントに人によりけり。せっかくダフトパンクが音楽やってるんだから、もっと音楽目立たせても良かったと思ったりもしました。

 

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」

 エピソード3と4を観ていることが前提にされているサイドストーリー。新しい視点で描かれてて新鮮味がある。

 また、この映画における 従来のスターウォーズ作品との最大の違いは、ゲリラ戦闘メインの泥臭さにある。いつもの主人公補正が200%かかった「とりあえず特攻すれば俺まぁまぁ強いしボスに勝てんじゃね?」的な戦闘をする展開ではないのだ。今までとかっこよさのベクトルが違う。ファンタジーっぽさが抜け、遠ざかっていたリアリティが一気に身近になったと言えば説明になってるかな?スターウォーズ好きならばバッドエンド確定とかつべこべ言わずに観てみろって話ですよ、きっと驚くだろう。

 スターウォーズシリーズの箸休めみたいなもんかなとか思ってたけど、全然そんなことなくて。むしろ本編より好きって人とかいそうなぐらいの完成度に大満足。あとね、K - 2SOくんとチアルートさんがかっこよかったです。

 

「ソー」

 ソーいえばみたことがなかったんですよね( 激寒 )。原点回帰、バトルロイヤルやってるし、最初から観てみようかなと思ったわけです。金髪ロン毛で豪傑、なのに紳士のお兄様にもうドキドキしちゃいました。世界観は魔法と科学が同じ場所にあるファンタジーワールド。スケールの大きさに圧倒されてたら それが自然に現世へと介入してくるわけで、意外とけっこうはっちゃけた作風だったんだなぁと感じたり。

 盛り上がるまでちょっと時間かかりすぎかな?とも思うけど、テンポ自体はそんな悪くないので観やすいとは思う。続編あるって考えれば、こういう感じで本編が終わるのもアリかなって。まぁ正直な話をすると、一本の映画として完結させてほしかった気持ちもあるんですけども。回を重ねるほどに面白くなるらしいので さっさとシリーズに追い付きたいところ。

 

「劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] I.presage flower」

 思いきった映画的演出に目は釘付け、ダレることなど一切ないハイスピードな展開。監督さんの技量は確かであると確信した。ダイナミックな映像は劇場で観る価値があったと言わせてほしい。ゲーム原作であれアニメであれ 関連作品に事前に触れていないといけないので、観客は限定されてしまうのだが、それが惜しいぐらい……というか、それがあってこそできたこの映画なのだろう。まだ3部構成の第1部なので、解決しないことも多くて今後の展開に期待しつつ不安でもあったり。あわてずゆっくり作ってください。余談ですが、桜さんおっぱい大きかったんですね。

 

ご注文はうさぎですか??~Dear My Sister~」

 ここで「あぁ^~心が( ry」なんて書くつもりはないけれど、久しくかわいい成分的なものを摂取していなかった私は視聴後感「あぁ^~」としか言えなくなった。内容についてはテレビアニメと同じく、いつも通りのゆるふわほんわかアニメなので特筆すべきことはありませんが、この作品すごいなって思うことがありまして。あんだけキャラクターがいる系のアニメって、あんまし光が当たらない不毛な立場のキャラっていると思うんですよ、でもこの作品そういうところに不満を感じなかったので 監督さんってかスタッフ、作り方がすごく上手いんですよね。

 推しは誰ですか?って言われると難しいですね。ううむ……メグかな?

 

 

 さて、5作品をさらってみたわけです。次はたぶんワンダーウーマンのレビューになりますかね、来週末ぐらいまでには……ぎゃーっクリスマスじゃねーか!コマンドーにしろ。

 

レビュー第4回 「ミックス。」を観てきました

【レビュー第4回 ミックス。

 

偶然の出会いが、わたしの人生を変えた。 

 

 卓球を扱う映画やドラマやアニメとかって、なんとなく少ない印象がある。存在してるけどあんまり話題に上がらないだけか?どちらにしてもいち卓球プレイヤーである自分としては寂しい部分もあるが、いくら日本の選手が大会で優勝した・上位に入賞した……とかで功績が世間に認められてきたスポーツだといって、正直作品の題材として扱うにはあんまし見映えしないってのは認めざるを得ないわけで。世間の認知度と見映えは必ずしも両立しない。そりゃそうだ。 

 しかしそこで「あんまり見映えしないスポーツ」である卓球をわざわざ題材にしたうえで、全日本卓球協会全面協力のもと豪華キャストで彩られた邦画が公開!的な宣伝が目に入った。ふだん邦画は全然観に行かないんだけど今回は事情が違った。

 人並みにわくわくしつつ劇場へ向かえば満員御礼、なんだよやるじゃん、卓球すげえじゃん!いいえそれは違います。あの空間にいる人間の8割以上はガッキーを観に来ているといっても過言ではなかったはずである!(名推理)周りの皆様の会話からそんなことを聞き取れたってだけなのではあるが、少なくとも「私が」劇場に向かう理由としては、卓球が題材であること、リーガル・ハイのスタッフが製作していることってだけでも十分だったのだ。決して私は出演者で観る作品を決めているわけではない。でもたしかにガッキーかわいいけどね。

 

 そんなガッキーが今回演じたのは三十路のダメ女である。が、今回はちょっと雰囲気が違う。彼女を主人公もしくはヒロインにしたありていなドラマであれば、ガッキーや脚本に対して「このルックスでちょっと不器用だからって男がいないのはおかしいやろ」などとぶつくさ文句をたれつつ、そんな彼女の姿に庇護欲を覚えた私たちは、その感情を「かわいい」の一言で片付けてしまう。それが「いつも」のイメージだ。

 しかし今作での彼女は、そのルックスを補っても余りあるほどのダメ女として描かれる。とくに序盤。そこで私たちが覚えるのは庇護欲などではなく同情であり、むしろサイリウムやペンライトを振って応援したい、そんな衝動に駆られるだろう。ガッキーはラケット握ってないのにだよ?スタッフというか監督は、ガッキーの撮り方を完璧に熟知しているのようにみえた。もちろんかわいく撮る技術もすばらしいからね。

 と、まあガッキーのことばかり書いてしまったが、もちろん劇中でペアとなる瑛太も好印象、二人のペアは息ぴったりでお似合い......というより、そう思えるぐらい見せ方がうまいのかも。あの二人私は好きです。

 

 ガッキーと瑛太のペアを取り囲む登場人物も大物揃いである。なにしろ私は芸能に疎いのだけども、顔見たことある人がそろい踏み。なんでこの人出てるのってなるぐらい豪華だ。

 でもこの作品の登場人物のキャスティングって、みんな意外性があるのに、そこに違和感はあんまりない。それは、この作品が現実に起こりうる物語なんてものととは縁遠く、完全にフィクション、脚色マシマシの物語であるおかげで、自分の主観とは完全に切り離すことに成功しているからだ。いくらむちゃくちゃな配役でも「フィクションだしな」と割りきることで自然と受け入れることができる。もはや一周回ってハマり役だと感じることになるわけだ。コメディだもん、これぐらいやってくれた方が気持ち良い。

 

  さてこの映画、私は全体的に満足しているつもりなのだが、正直(言い方が悪いのだが)「大画面でカネのかかったテレビドラマを見ている感覚」を感じる部分はけっこうある。これはこの映画だけでなく、近年の邦画の呪縛とか言うべきか。もちろん私はこの映画にド迫力な映像とか求めてたかんちがいくんじゃないし、それでもそこに関してはこの映画はけっこう映像的な見せ場もしっかり作られていたのでそこは評価すべきところだと思っている。 

 ただ、監督をはじめとしたスタッフがテレビドラマ出身だからか、全体的な印象としてはやはり映画というよりはドラマっぽさを感じるのも事実だ。脚本自体は意外と単調で、多少もどかしく感じる部分があったりもする。「ここでCMが入りそう」って思う露骨な間の取り方とかね。ここは賛否両論ってとこかもしれない。それが好きって人もいるだろうし。逆に考えればそのドラマっぽさが、敷居の低さに繋がっている。そしてそれこそがこの映画の魅力にもなっているわけで、気軽に観れるコメディー映画としての仕上がりは至高である。

 なんだかいろいろ書いたが、アツいコメディエンターティメントってことでまとめておくことにするよ。観るときっと元気が出るだろう。それぐらい鑑賞後感も悪くない。私はまた観たいと思うんだ(来年ぐらいには地上波で放送されそうとか思ったり......)。

 

 余談だが、個人的には「お遊びとしてのピンポン」ではなく「競技としての卓球」をしていたことが純粋に嬉しかった。前述したけど卓球題材にした作品って多くないからね。キャストにばっかり焦点を当てて本題のスポーツはないがしろにされがちって作品もあるし、そういうのに比べればこの映画はちゃんと細部にまで力を入れて作りこまれていた。コメディなのにですよ?だから好きになったんですよ、この映画。

 

 私は卓球やっぱり好きです。ミックスする相手はいないけどね!

 

【おひさしぶりです】

【おひさしぶりです】 

 

 まず、無断で二か月近く放置したことをおわびします。やめたわけじゃないですよ。語彙力向上が目的ですし。今後も無理のないペースでひっそり活動していきますが、なにしろ筆が遅いのでそこらへんは期待しないでもらえれば......。それと同時に、過去記事を一文字でも読んでくれた皆様には今後ともごひいきにして頂きたいと思っております。図々しいよハゲとか言わないで。

 

 放置した理由は単純で、モチベーション的な話なわけで。先月の赤ペン先生出してないなー。やろうかなー。ってときに今月号のやつが来る、みたいなもんです。それでも映画だけは観てて、「トロン レガシー」は個人的には微妙だったし、「ローグ・ワン」は書いても仕方ない感あったし...とやってるうちにズルズル引きずってきてしまいました。

 

 ここでけじめといたしまして、下書きに残っている「ガーディアンズオブギャラクシー」「ラ・ラ・ランド」「君の膵臓を食べたいの原作読んだんですよ」の記事をお蔵入りにして、 再スタートを図ろうと思ったわけです。ラ・ラ・ランドは最高すぎて語彙力が追い付かないだけです。絶対に勧めたい映画なのでいつか書きます。キミスイの方は気付いたらひねくれオタク末期患者みたいな文書いてたんで公開は絶望的かもしれないです。正直あんなの人に見せられんわ。

 

 さて、そんなこんなで心機一転、再スタートの回はナンバリングにして映画レビュー四回目「ミックス。」です。めずらしく邦画。読んでいただければ嬉しいことかぎりなしって感じです。

 

レビュー第1.5回 「メアリと魔女の花」の原作を読んでみました

【レビュー第1.5回 ほう......メアリと魔女の花の原作ですか......】

 

【レビュー第1回はこちら ↓ 】 

 

shigetyan1117.hatenablog.com

 

【前回のあらすじ】「映像化するにあたって、原作にはないオリジナルストーリーを追加しました」と語る監督の話を読んだ僕。メアリが「おしい映画」として認識されてしまった理由は、オリジナルストーリーの追加が原因?それとも___。 

 

 さて、文量はさほど多くないこともあり、空き時間を見つけて2,3日で原作本を読み終えた。手軽に読めるのはいいことだと思う(もちろん長い本だって嫌いじゃないよ)。さらに言えば、翻訳された日本語の語感ってかリズム感がすごく好きだ。海外の児童文庫を読んだのはガラスの大エレベーター以来かなぁって。あれもけっこうリズムで読んでく感覚あるし、僕の個人的なツボにはまっただけなのかもしれない。とまぁ僕自身の手に取った感想はここまで。

 

 肝心なのは内容である。読んで思った、なるほど結構違うのだ、と。そして同時に、原作改変した理由はわからんでもないとか思ったのである。

 

 まず登場キャラクターの設定がけっこう違う。というか、ここの変更があったせいで(おかげで?)話の展開が大きく変わっていくことになる。

 

 主人公メアリはやはり状況に流されやすいが、映画よりは自分の意思を持って行動している印象があったので、受け手(メアリ)と受け手(ぼく)が重なった結果起こったジレンマは感じなくて済んだ。「なにやってんだこいつ」って思っちゃうやつね。

 また、映画内でメアリは、知り合いの男の子ピーターを生け贄にすることにより自分の身を守るという最低ヒロインを演じ、さらに観客のヘイトを高めた(※要出典)が、原作では既にピーターは悪役サイドに捕まっていたため、原作で連れていかれたのはネコの片方だった。原作では、起承転結でいう「転」に至るまでまで声帯が神木隆之介の男の子とは関わることがないのである。ましてや人体実験もされない。

 

 なぜ登場人物の関り方やその扱い方(物語の展開)がそうまで違ってしまうのか、それは原作においては「シャーロットおおおばさまが元魔女じゃない」という設定が背景にあるからなのではないかと思う。原作ではシャーロットおおおばさまはただのおおおばさまなのだ。映画オリジナルストーリーとか以前に、下手したら映画自体が、原作とは独立したifルートみたいなものだったのである。間違いなくこれが最大の改変である。

 

 なぜそんな重要な設定が追加され、展開が大きく変わったのか。読み終えてみると非常にわかりやすい。原作は良くも悪くも児童書であり、あれをそのまま映画化したとすれば、映画としては非常に単調なものになってしまったことは容易に想像がつくのである。

 

 原作では 魔法大学からの脱出 → 追ってくる悪役とのデットヒート 

がクライマックスといった具合に書かれている。たしかにデットヒートだけでは映画のクライマックスとしてはすこし味気ないかもしれないわけで、映画化すると決まったことにより、映画映えするド派手な展開が欲しくなり、そこを追加したというのがすごくわかる。痛いほどわかる。だが、それによって情報量の増加が生じるのはあたりまえのことだし、それらを限られた時間でうまくまとめるのはより難しくなってくるわけだ。

 結局のところ(僕個人の感想としては)映画本編は金曜ロードショーを見ている気分というべきか、なんだか物足りないと感じることになったのも事実だ。設定の説明や展開、会話の省略を「魅せるテクニック」として、または文学でいうレトリックとして使っているのかというと、僕はそうは受け取れなかったし。それはただの場面カットと変わらないように思えた。

 ちなみに僕は賛否両論「映画 打ち上げ花火(以下略)」 の見せ方は省略することを美学だとこじつけたものではなく、レトリックの一種だとか思ってる人なので、僕個人の見解を素直に受け止めるのはよしたほうがいいかもしれない。

 

 ともかく、原作に触れてみて、メアリが「おしい映画」になった原因はわかった。痛いほど。しかし、原因が分かったからと言って結果がどうなるわけでもあるまい。僕は「映画 メアリと魔女の花」は原作再現を目的とした映画ではないのだと思った。事実がどうあれ、僕はそう思うことにする。

 それをもっとポジティブに考えれば、メアリと魔女の花という作品は、映画・小説とタイトルは同じだがまったくの別物として楽しむことができるのだ。これって意外とおもしろいことだと思う。楽しみ方だって、小説と映画じゃ全く違ってくるわけだし。いずれも全力でおすすめしたいとまではいかないが、興味があればどうですか、という進め方をしたい完成度だったのではないかと思った。

 

 

 余談なんですが、映画でも原作でも特に触れられなかった設定みたいなものがいくつかあって。あえていえば、ネコって結局使い魔だったのかどうかがわかんないんですよね。使い魔っぽい猫なのか。そこらへん曖昧だったんですよ。

 

 そういうふわふわしたところだけは、原作に忠実だったかもしれない。まぁそこらへんなんてわざわざ考察しても仕方ないし、僕たち受け手に細かいところの解釈が任されることにも、また違った楽しみがあると思うから、これはこれでいいかな。

 

レビュー第3回 「ゾンビスクール!」を観ました

【まえがき】

 これまでレビューしてきたものとはジャンルも何もかも違う映画だが、「このブログでは『劇場で』観た映画の感想を書きます」とか言ってないのをいいことに、こういうのもたまにはレビューしていこうと思う。

 

 レッツ、給食タイム!

 

 「ガラスの花と壊す世界」ってアニメ映画があるんですよ。総集編みたいに短かったけど好きな人は好きだろうという感じで。イメージソングが僕は好きで~もうええわ。

 それ観に行った時に流れた予告が「ゾンビスクール!」であり、この映画との出会いだったのである……ってことを言いたいだけなんですよ。まぁわざわざアニメを観に来た客からすれば「なんだこれ」と思わず声を漏らしたことだろうし、劇場内を微妙な雰囲気にさせたことは間違いなかった。

 そんな「ゾンビスクール!」だが、僕はその存在を二年ぐらい忘れていた。インパクトはすごかったが、当時の僕は1000円払って観に行くほどではないと判断したのだ。そしてレンタルが出ても棚の前を素通りし、先日ひかりTVで配信されてるのを見つけたときは、さんざん探した失せ物を1年ぶりに見つけた気分だった。正確には公開から2年経ってるけどな。ともかく僕の事情はこの辺でおしまい。

 

 さて、タイトルオチしてる気もするこの映画、内容を一文にすれば「なにかと残念なひとたちが、ゾンビになったガキをボコボコにする映画」である(〇すって書くと凍結喰らうらしいので、すこし控えめな表現にしてみました)。

 「ソウ」の監督、「glee」の脚本。僕的には「なんでだよ」ってツッコミを入れたい制作陣だが、そのおかげでコメディとホラーがいい感じに融合した仕上がりとなっていたと感じる。ゾンビものではあるのだが、見終わった後ひとりでトイレに行けなくなるタイプのホラーとして紹介するほどではなく、ほどよく肩の力を抜いて見られる作品なのではないか、と。

 

 しかし「ふだんから精神健康的にあまり良くないものをある程度摂取している人間からすれば」肩の力を抜いて見られる映画なのだと但し書きしておきたいと思う。

 監督が悪趣味な映画を作ることに定評がある以上、悪趣味にならないはずがないのだ。冒頭からニワトリがチキンナゲットになるまでが描かれ、開始3分と経たずに悪趣味丸出しでさすがに失笑。その他随所にブラックユーモア全開である。ゾンビものらしく人体欠損等も多いが、ブラックユーモアにしてしまったりもする。

 

 ......よく考えてみればゾンビが子供の時点で悪趣味なんですよね(感覚麻痺)。各方面から苦情は来そう......というか絶対来てるでしょアレ。

 R15指定された理由は「グロテスクだから」ってだけじゃなくて、どの方面にもケンカ腰っていうか、パロディやら下ネタやら、なんでもやりたい放題の映画だったからなんだろうって思うよ。

 

  吹き替え版で観たのだけれど、声優陣が無駄に豪華なので楽しかった。ヘタレ主人公浪川、話を聞かない若本。残念な登場人物たちが、グダグダになりながら話を進めていく。誰がいつ脱落してもおかしくはない状況のはずなのに、なんだか緊迫感に欠けるし、観てるこっちまで気が緩む。そういうトラップ(気を抜かせて突然ビビらせに来るやつ)かなと思って警戒していたが、あんまりそんなことはなかった。

 もちろんこれは悪い意味で捉えないで欲しい。ホンモノが観たい人はロメロとか観ればいいと思うよ。僕はロメロこわくて見れないけどな。

 僕はこの映画を、コメディホラーなどとジャンル分けされたもののなかでも、比較的気軽に観れる映画として紹介したいのだ。みんなにおすすめ!みたいなものでは断じてないが、趣味っていうか感性が似たような人にならおすすめしたい。

 需要と供給がね、合致すればいいってことなんですよ。.90分とそこまで長くないし、暇つぶし観てみるのもにでもどうでしょうか、こんなところでまとめにしておこうと思います。.....終盤のコマンドーのパロディは必見だよ.......

 

 さて、記事を上げるタイミングを逃している「1.5回」とか「2.5回」の方を書けと言われそうだ。打ち上げ花火(以下略)のレトリックうんたらって話とか、途中で書いて放置しちゃってることが気がかり。時間を作って書いていきたいです。今回はこのへんで~。

レビュー第2回 「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を観てきました

【レビュー第2回 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

 

もしも、あのとき......

 

 「この夏いちばんの青春恋愛映画」とでも言いたげな予告と宣伝によって、一部の人間にデジャヴを感じさせた気がするのは僕だけじゃないと思いたい。僕自身もまんまと乗せられてしまった、昨年の「君の名は。」ムーブメント。どこをとっても盛り上がるように設計された作品なのだから(褒めてる)、盛り上がらないはずがなかった。

 しかし「君の名は。」を若者向けの総合的なエンターテイメント作品として捉えるとすれば、今回レビューする「打ち上げ花火(以下略)」は、視聴前に予告や各種媒体から受けた印象こそ似ていると感じたが、ターゲットにされる層、作風、というかもう全部、ベクトルの方向が違う作品だった。......まず絵が違う?それは下で書いてるから......。

 

 過去に放送された45分のドラマを → 90分の劇場アニメにする

......という、界隈ではあまり聞かない企画が「打ち上げ花火(以下略)」の最大の特徴なのだと思う。つまり、実写が先立つ作品である以上、制作側は「アニメだからこそできる」独特な脚本・演出で勝負に出ることになるわけだ。そしてそれが、作品により一層深みを与える結果となったのだ......なんて書いてみたりする。 

 逆に言えば、そこが本作の評価の分かれ目となったのである。見慣れない人はもとい、見慣れている人からしても、このアニメの独特な展開・演出を「わかりづらい」と捉えることも少なからずあると思うからだ。

 正直、これ書いてる僕だって、観る前は青春恋愛エンターテイメント的な内容を想像してたわけだし、観終わって「内容を完全に理解した」なんて言えない。でも、それって決して説明を放棄されたとか、大事なとこを省いたそういうわけではなくて、ある程度受け手に解釈を任されているってことなのだろう。少なくとも僕はそう受け取った。 

 

 こうして考えてみると、この映画の作り手からすれば、受け手として望ましいターゲットとは、アニメを見る人の中でもコアな層になってくるのだと思われる。シャフトの持ち味を生かした「シャフト的」な演出の数々と、それを引き立てる魅力的な音楽はコアな層を虜にしたことだろう。もちろんこれをきっかけとして、こっちの層に入ってくれる人がいれば歓迎するよ。

 

 ここで余談だが、ヒロインの「なずな」の色気がすごい。予告でも垣間見えるが、本編での破壊力はこれまたすごい。物語シリーズ等で、「シャフト的」な女の子の色気の描き方を知る人にとっては、まってましたといったところか。絵が深夜アニメっぽいのはご愛嬌。煩悩まみれの諸兄には、さぞ刺激が強いことだろう。

 

 この娘、見た目だけなら絶対中1じゃないわ(ネタバレ気味)。

 

 余談と言ったな?あれは嘘だ。個人的に考える、本作の賛否を分けるポイント2つ目はそこなのだ。登場する主要なキャラクターに対して「コイツらの年齢、中1っておかしいだろ」と感じてしまったところなのだ。2つの意味でね。

 原作のドラマでは、主要な登場人物は小6であるが、今回設定が変更された。

 (僕はドラマの方は未見なので、これに関して突っ込むのはあまりよくないことなのだが)本作を見て思うのは、設定年齢とその行動・性格のかみ合わせが悪く、少しちぐはぐに感じるということである。「中1なのに大人びすぎている」と「中1なのに子どもっぽすぎる」というキャラの印象が、作品内に混在している。

 これを「少し変わった子ども」として割り切って捉えるかが微妙なラインなわけで。

 例を挙げれば、たしかにヒロインは「変わった娘」なのだが、年齢と性格と見た目(これはアニメなのでどうにもしがたい)が合致していないように思ったりする。

 設定変更が原因なのか、それとも僕がドラマを視聴したとして、そこでもちぐはぐな印象を抱いたのかどうかは分からない。未見の以上は偉そうに語れないので、機会があればそちらも見てみたい。これは単なる興味。

 

 ともかく、そうやってゴチャゴチャ言ったとしても、どれも違和感程度のものなので、神経質に考える性質じゃなければ、とくに気にせずに見ることができると思う。たぶん。

 主人公とヒロインを演じる声優に違和感があるという話も、その周りを囲む人物に本業の声優が多かったため、違和感が強調された......という話だろうと僕は思う。違和感はあるが、これ以上そんな事書くなら内容について書きたい。

 とりあえずここはレビューなので。内容の考察等は控えよう......変な事書いて打ち上げ花火警察(仮)みたいのに捕まるのも... って思ったけど別で少し書くかもしれない。コアな層の性ってやつなのか?これ。

 

 さて、劇場公開から一週間が経った。少し落ち着いた今こそ、冷静にこの映画と向き合ってみるのも一興。他で書いたこともあるが、映画にする以上「劇場で見るために作られた」演出もたくさんあるし、劇場で聴く主題歌「打上花火」もぐっとくるものがあるはず。......Youtubeでいいだろ?そんなこと言わないで.....

 好きなものは好きと言わせてほしい。僕はけっこう好きです、この映画。